2015 鈴鹿8耐 TEAMJP レポート


鈴鹿サーキット、午前11時。
56番グリッドに青と白のマシンが並び、
コースを挟んだ向かい側にライダーの木村泰善選手と
革ツナギ姿の田村武士選手が座り、
室井監督やキャンギャルのみなさんとともに カメラに笑顔を向ける。

だがライダーや監督の笑顔は
やや疲れているようにも感じられた。
無理もない。
ここに来るまでに数多くの出来事があったからだ。

始まりは事前テストで木村選手が
ペースダウンした他車と接触・転倒してしまったこと。

ここでマシンの修復に多くのパーツと時間を費やした。
木村選手も足に擦過傷を受けるなど決して
順調な滑り出しではなかったのだ。

その後も木曜日の公式練習で木村選手の旧知の仲である
ダン・クーガ”選手が転倒。
脳震盪を起こして決勝出走を
ドクターストップされてしまったのだ。

これで木村選手と田村選手の2人で
8時間を走りきらなければならなくなった。

マシンは室井監督を筆頭にメカニックたちが
必死に修復作業を行ったが完調には至っていない。
マシンもライダーも満身創痍で望んだ予選。
そこで田村選手が気合のライディングで
通過タイムを叩き出す。沸くピット。

そう、TEAMJPの強さはこの結束力にあった。

スタッフのみならず、選手の家族や大勢の応援団、
キャンギャルにいたるまでが一丸となってライダーを、
そしてチームをバックアップしているのだ。
その協力体制は鈴鹿のピット内でもトップクラスだったはずだ。

午前11時30分に8耐はスタート。

スタートライダーの田村選手はマシンをいたわりながら
順調にラップを重ねる。
室井監督は1人欠けてしまった状態での
マネジメントに頭を働かせる。

ライダーの疲労を考えて小刻みに交代を行うことにしたのだ。
しかし今年の8耐は荒れた。

第一スティントで木村選手がシケインで転倒。
しかし速度が低かったため、ライダーもマシンも
被害は最小限で済んだ。

ピットでは田村選手も加わっての修復作業が行われた。
その後もホンダの看板ライダー、
ケーシー・ストーナー選手の大転倒による
SC(セーフティーカー)導入など予想外の展開が続き、
そのたびに室井監督は作戦を練り直し、
ライダーは灼熱のサーキットを走り続けた。

途中、スロットルボディの不具合が発生したこともあり、
完走扱いに必要となるトップの75%以上の周回数が
ギリギリになった。

そのため最後のスティントは田村選手、
木村選手ともに大幅に伸ばすことになった。

これでいけるかと思った木村選手の最後の走行中、
またもやトラブルが。
シフトプレートが破損してしまったのだ。
緊急ピットインする木村選手。

しかしここで奇跡が起きる。

コース上のトラブルで6回目となるSC導入となったのだ。
コース上のマシンのペースはガクッと落ち
修復のロスを最小限に抑えてくれた。

そして感動のゴールシーン。

木村選手がチェッカーをくぐるとTEAMJPスタッフから
ひときわ大きな歓声が上がる。
そして木村選手はピットに戻ると田村選手と抱き合い、
周囲からは祝福の嵐が。

歓喜と涙が交錯するTEAMJPピット。
多くの苦難を乗り越え完走を果たした
現場に立ち会った者だけが得られる最高の感動なのだ。

しかし最後のSC導入は劇的だった。
それがなければ75%走れたかどうか。

「神様が助けてくれたんだね」と室井監督。

二人の激走とスタッフ全員の頑張りは必ず報われる。
50位完走は、真夏の鈴鹿に起きた一つの奇跡だった。